硫黄島 別れの旅

ゴールデンウィークは島で忙しくしているはずだった。




偶然にも空を見上げている時にそのしらせは届いた。

「じいちゃんダメだった。」

初孫にあたる旦那さんには特別な思い出がたくさんあった。

仕事の都合で葬儀に駆け付ける事が出来ず

島暮らしの悲哀を感じたに違いない。



旦那さんから手紙を託された私。



こども達を連れて山川へ。


頑固で威厳があって、懐の深い人であった。孫の嫁である私にもいつも優しくしてくれた。

嫁いだ頃、こう言う人を「長」おさと言うんだなと感じた。

たくさんの弔問客にその人柄が偲ばれる。



素敵な女性に成長したいとこ達と、走り回りながら対応に終われた。

旦那さんの代わりに孫代表で立派な挨拶を
してくれた。


じいちゃんの「思い」はしっかりと孫の代まで受け継がれていた。



寂しさと賑やかさがおりまざった不思議な時間は夜遅くまで続いた。



最後の時。

たくさんの花とともに、託された「手紙」をそっと入れる事ができた。

多くの涙が流される中、じいちゃんは天に召されて行った。92歳大往生であった。


この数日間。

こども達は「命の重さ」を目の当たりにした。

生まれる事だけではなく、死にゆく事でこそそれを重く受け止めたと思う。



命のあるかぎり、頑張って生きねば。





島に帰るまでに一日暇ができた。


じいちゃんがくれたお休みに感謝しながら過ごすとしよう。